~パワーハラスメントに負けない~一生懸命に夢を叶えようと頑張る少女が翼を失う
<1.夢を叶えた少女>
自分で見つけた夢を叶えるために頑張り続けてきた少女がいる。
彼女の夢は「日本で働くこと」だった。
日本はアジア諸国の中で、先進国として位置し世界的にも有名な国の1つに入る場所である。アジアのとある国で生まれた彼女は経済的にも学問的にも優れた日本で自分の力を試したい。今の場所にいるよりも自分の力が通用するのか試すため遠い国から日本へやってきた。
私は彼女と1年前に出会った。
見た目は同じ日本人だが彼女の話す言葉は、ネイティブ日本人とは違う感じを受けた。まだまだ日本語慣れしていない彼女が使う言葉は時に直球で時に難しい変化球のようだった。
当時すでに彼女は日本の会社で働いていた。
彼女の夢だった「日本で働く」事は達成されていた。外国人が日本に来て働く事はとても難しいだろう。なぜなら日本人が海外で生活して、その国の言葉を使い働く事が難しい事は容易に想像できる。自分が1人で海外に出て生活する勇気はない。
自分にできないことが彼女にはできる。それだけで私は彼女を尊敬していた。
<2.働くためのスキル>
その後も彼女の躍進はまだまだ止まらない。
彼女が働く会社には、海外から多くの留学生が訪れる。日本に勉強に来る留学生はそれぞれの国の言語を話し、共通言語は英語・中国語・ベトナム語・ほとんど話せない日本語である。それら4つの共通語を彼女はすべて話すことができる。母国語+英語だけでも習得が難しいと言われる中、彼女は4カ国語を巧みに操りコミニュケーションを図ることができるのだ。
その会社の彼女が勤務している支店では、彼女ほど言語ができるスタッフが他にいないため日本語が話せない留学生たちは、言語ができる彼女が頼りなのである。学生がケータイを落とせば彼女も呼ばれる。学生が姙娠して国に帰る時、学費の交渉をするのも彼女の仕事。学生の親からの子供を心配する電話の対応も彼女の仕事なのである。
彼女の会社に留学している学生は、彼女にとても感謝しているに違いないと思う。
学生と話している時の彼女の表情はとても楽しそうだった。
<3.緊急事態発生!>
夢を叶え日本で一生懸命頑張り働いていた彼女に突然起こった問題が一つだけあった。
表題でも触れているパワーハラスメントである。
「職権などのパワーを背景にして、本来業務の適正な範囲を超えて、継続的に人格や尊厳を侵害する言動や行動を行い、就労者の働く環境を悪化及び雇用不安を与える」
と定義付けされている。
上司が信頼されていない会社で最もモチベーションが下がり、それを補うために懲罰的な叱咤がなされるが、かえってそれが会社にとって致命的なミスに繋がるということも明らかになっている。
ハラスメントを受けている被害者も会社も何もメリットがないハラスメント行為が行われている。高い地位を利用しているため被害者は地位の低い女性が対象となるケースが多い。お偉いさんにはNo!となかなか言えないのが日本の会社の実情である。
今まで頑張り続けてきた彼女の身にもパワーハラスメント行為が発生してしまった。
相手は自分の立場を利用し、腰に手を回したり手を握ってきたりするようだ。
日本で働きづづけるため、彼女の口からNO!ということは難しい。相手はお偉いさんであり、多くの権限を握っているため反抗することは会社をクビになる可能性も考えられる。
彼女は精神的にも不安定になり、転職を考えるようになってしまった。
彼女ほどのスキルがあれば、他の企業で今以上にのびのび働くこともできるだろう。
自分が目指してきたところで、大人の悲しい対応を受けてしまった。
彼女が思い上がったり、調子に乗ったわけではない。たまたま悲しい対応が好きなお偉いさんと会社という場所で出会ってしまっただけなのである。
<4.翼をなくした少女>
ギリシャ神話の中にこんな話がある。
{昔、塔に閉じ込められた父と息子がいた。
2人は塔を抜けるため、鳥の羽を集めて大きな翼を作った。大きな羽は糸で止め、小さな羽根は蝋で固めた。
いよいよ完成した翼をつけ飛び立とうとする時、父は息子にこういった。
「空の中くらいの高さで飛ぶのだよ、あまり低く飛ぶと霧が翼の邪魔をするし、あまり高く飛ぶと太陽の熱で解けてしまうから」
そして2人は飛んだ。
イカロスは調子に乗ってしまい、高く高く飛んでしまった。
太陽に近づくと、羽を止めた蝋が溶けてしまい翼を失い地に落ちた。}
夢を叶えて堅実に働いていても、外的要因によって地に落とされることもある。
人間が生きる間で何が起こるのか予測はできない。
翼を失った彼女は今後どのように生きるのだろうか。
「神は乗り越えられる試練しか与えない」
必ず彼女はこの試練を乗り越えられるはずである。
もし彼女に救いの手が必要なときは手を差し伸べてあげたいと思う。
<5.許されないハラスメント行為>
セクハラもパワハラも自分勝手な欲望から生まれる行動だと思う。
被害者になれば精神的にとても大きなダメージが残る。相手はふと思いついて手を握ったり写真を撮ったりするのかもしれないが、被害者からすればとんだ迷惑行為でしかないのだ。
私がここでいくらハラスメント行為が良くないと言っても無くす事はできないし、その上司をクビにすることもできない。これは承知の上である。私にできることは、被害を受けてしまった彼女の精神的サポートだけである。
<6.まとめ>
今回初めてハラスメント行為に関して考える時間を持つことができた。今までチラシ等にセクハラ・パワハラの危険性!などと書かれていても見る気もなかった。自分には起こらないし、関係がないという当事者意識の欠如である。自分の体験談ではないが、身近でハラスメント行為を受けた彼女の話を聞いて重大なことだと認識したというのが本当のところである。まだまだハラスメントに対しての意識が薄い日本において、これからもハラスメント行為は行われ続けるのではないかと思う。
もしこの記事を見ているあなたが、ハラスメント行為を受けてしまった場合・受けているという場合はすぐに相談できる人や機関に相談をしてください。自分の居場所を無くす事は、精神的にかなりの負担を伴います。耐えられない場合は転職も1つの道です。